超音波洗浄機とは?超音波洗浄機の仕組みや使い方を解説!

【この記事ではこんなことが分かります】

・超音波洗浄機は何をする家電?

・そもそも超音波とは何か?

・超音波洗浄機が汚れを落とす仕組み

・超音波洗浄機の各部位の名称とはたらき

・超音波洗浄機の使い方

・超音波洗浄機で洗えるもの

・超音波洗浄機を使う際の注意点

超音波洗浄機は何をする家電?

超音波洗浄機とは、超音波の力を使い、通常の水洗いやブラシなどでのお手入れでは落としきれないものの汚れを落とす機器です。

以前は超音波洗浄機といえば工場などで使う機械や部品を洗浄したり、精密機器の汚れを洗浄したりする業務用のものがほとんどでしたが、近年では一般家庭向けに眼鏡やアクセサリーなどをはじめとする小物を洗浄するための小型なタイプのものも販売されるようになっています。超音波洗浄機はよく眼鏡屋で見かけることがあるため、眼鏡を洗うための家電だと思っている人もいるかもしれませんが、眼鏡以外にも様々な小物を洗浄できる家電です。指輪やネックレス、ピアスなどのアクセサリーや腕時計の金属ベルト、電気シェーバーの刃やビューラーなどのメイク道具、さらにプラスチックモデルのパーツといった意外なものも、超音波洗浄機があれば数分で汚れを落とすことができるため、家庭に一台あるととても便利です。

ここでは、超音波洗浄機にあまり馴染みがないという人に向けて、超音波洗浄機の仕組みや汚れが落ちる原理などを解説し、超音波洗浄機で洗えるものや洗えないものについても紹介していきます。

そもそも超音波とは何か?

「超音波」とは、一言でいうと「人間の耳では聞き取ることのできない高周波の音波」のことを指します。人間の耳で聞きとれる音は、個人差はあるものの低音では20Hz(ヘルツ)から~高音では20kHz(キロヘルツ)までの周波数であるとされており、この人間に聞こえる音波の範囲を「可聴域」と言います。この人が聞くことのできる最高音域である20kHz以上の音波のことが「超音波」と定義されています。

超音波は、可聴域の音波と同じく空気や水を媒体として伝搬していきますが、私たちが普段聞いている通常の音と比較すると、「水中や金属の中をより伝搬しやすい」という点をはじめとして、様々な特徴があります。これらの特徴を利用して、超音波は医療や産業など私たちの生活の中の様々な分野で活躍しています。超音波の特徴を利用した技術には以下のようなものがあります。

・洗浄

超音波の特徴を利用した働きとして有名なのが、ここでも紹介する「洗浄」機能です。超音波を振動させると、水中に無数の気泡が発生し、その気泡が破裂するときの衝撃で対象物の汚れを剥がし落とす「キャビテーション」という作用が起こります。この作用を利用しているのが超音波洗浄機です。

・計測

超音波の特徴を生かした機器として普段の生活で耳にすることが多いものとして、医療での超音波診断(エコー検査)や海上での魚群探知機などが挙げられます。これらは、液体を媒介させて超音波を伝え、その時の対象物の音の反射や伝搬時間などを計測しています。

・溶着、接合

超音波を利用することによって、プラスチックを溶着・接合する技術も広く知られています。これは、強力な超音波をプラスチックに伝播させ接合面を溶かすことによって溶着させるという仕組みを用いています。この溶着・接合方法では、接着剤などを使うことなく様々なものを溶接できるため、多様な素材や製品の製造に利用されています。

・切断

超音波の細かな振動は、様々なものをきれいに切断するという技術にも利用されています。カッターの刃先を超音波によって高速振動させることにより、カッターと対象物の摩擦を減らし、軽い力で綺麗に切断することが可能になります。この技術はプラスチックやシリコンといったものをはじめとして、粘着性のある食品を美しく切断することにも利用されています。

・霧化

液体の中から液面に向かって超音波を発生させることによって、液面を振動させて液体を粒子に変え、空中に散布するという技術もあります。この技術は、加湿器や除菌噴霧器、塗装といった様々な場面で利用されています。

・混合、乳化

水と油など、通常では均一に混ぜることが難しい液体同士に超音波を照射すると、短時間で混ぜ合わせることができます。この乳化技術はマヨネーズやドレッシング、ジュースといった食品のほか、インクや化粧品などを生産する時にも利用されています。

超音波洗浄機が汚れを落とす仕組み

超音波洗浄機には、洗浄液と洗浄対象物をいれる洗浄槽の下部に振動子という機器が取り付けられており、通電すると電気を振動に変換させて超音波を発生させます。

超音波洗浄機本体に洗浄したいものと水と洗浄液を入れて起動させると、超音波の振動によって無数の気泡が発生し、その気泡が破裂するときの衝撃で汚れを剥がし落としてくれるという仕組みになっています。この超音波で発生した気泡が破裂する現象のことを「キャビテーション」といいます。このキャビテーションによって、小さくて手洗いしにくいもの、複雑な凹凸や細かい溝が多いもの、ブラシなどを入れて洗うことができないものの汚れも剥がし落とすことができるようになっています。

このキャビテーションの発泡による洗浄力は、超音波の周波数によって変わってきます。先述したように、超音波とは人間の耳では聞き取ることのできない高周波(20kHz以上)の音波のことを指しますが、この超音波の周波数が低くなるほど発生する気泡は大きくなり、周波数が高くなるほど気泡は細かくなります。そのため、超音波洗浄機の周波数が低いほど洗浄力は高まりますが、洗浄対象のものに与える衝撃も大きくなります。逆に周波数が高いほど洗浄力は弱くなりますが、洗浄対象のものへのダメージも小さくなります。

金属加工機械やプレス機器などの部品を洗浄するような工業用の超音波洗浄機は26~38 kHz前後、眼鏡やアクセサリーなどを洗浄する家庭用のものは40~50kHz前後、精密機器などの汚れを除去するためのものは70~400 kHz前後の周波数といったように、洗浄するものの大きさや汚れ、精密さなどによって適切な周波数は変わってきます。一般的な家庭用の超音波洗浄機はほとんどが40~50kHz前後となっており、普段身につける様々な小物の汚れを洗浄できるようになっています。

超音波洗浄機の各部位の名称とはたらき

超音波洗浄機は、各メーカーが発売しているものによって形状や付属する部品などは様々ですが、基本的な作りや特徴は似ていることが多いです。

・本体

超音波洗浄機の本体部分は、大きさや形状などはメーカーやモデルによって多様です。家庭向けのタイプは、眼鏡が入る程度の大きさの超音波洗浄機が豊富に販売されていますが、中には大容量のものやアクセサリーのみを洗浄するかなり小型なものも発売されています。

本体部分には電源ボタンの他、タイマーなどの操作パネルが設置されているものもありますます。

・洗浄槽

洗浄槽は、洗浄水と洗いたいものを入れる容器部分です。洗浄槽には洗浄水を入れる水位線が表示されていることが多いので、運転する際は水位線以上の洗浄水を入れないようにしましょう。水位線を越えて洗浄水を入れすぎると、水があふれて感電や故障の原因になる可能性があります。

・アクセサリーホルダー

腕時計や細かいアクセサリーなどを入れて洗浄しやすくするアクセサリーホルダーが付属している超音波洗浄機もあります。特に腕時計のバンド部分を外せない場合は、腕時計用のアクセサリーホルダーが付属していると便利です。腕時計用のホルダーに腕時計をセットすれば、本体部分を濡らすことなく金属ベルトを洗うことができます。

また、ピアスなど小さなアクセサリーを洗浄するときは、超音波の振動によって傷が付かないようにアクセサリーホルダーに入れて洗浄するとより良いでしょう。

・CDホルダー、DVDホルダー

超音波洗浄機には、腕時計やアクセサリーなど身につけるもの以外にもCDやDVDを洗浄することができるものもあります。CDやDVDは形が特徴的なうえ傷が付きやすいため、CDやDVDを洗う予定のある人は専用のホルダーがついた超音波洗浄機で洗うのがおすすめです。

・洗浄カゴ

洗浄槽に合わせた洗浄カゴがついていると、プラスチックモデルのパーツなど細かいものをたくさん洗いたい時に便利です。細かい部品を一度にたくさん洗浄する場合、カゴがないと洗浄が終わって排水する時や洗浄したものを一つずつ取り出すのが大変ですが、まとめてカゴに入れて洗浄すれば一度に取り出せるので便利です。

超音波洗浄機の使い方

超音波洗浄機の使い方はとても簡単で、以下の手順で洗浄することができます。

・本体の洗浄槽に水または洗浄水(水と洗剤)をいれ、そこに洗浄したいものを入れる

・電源を入れ、運転を開始して洗浄を始める

・洗浄が終了したら水道水ですすぎ、柔らかい布などで水気を拭き取ったら完了

洗浄したものを確認して汚れが落ち切っていない場合は、洗浄水を入れ替えてから洗いたいものを入れ、再度運転しましょう。

【洗浄する際に使う洗剤について】

家庭用の超音波洗浄機で洗浄する場合は、洗剤を入れずに水道水だけで洗浄しても十分汚れは落ちますが、汚れがひどい場合は洗剤を入れて洗浄すると頑固な汚れも落としやすくなります。その際は超音波洗浄機専用の洗浄剤を用意できればベストですが、専用のものがない場合は家庭用の中性洗剤を数滴加えてから洗浄するようにしましょう。超音波洗浄機専用の洗浄剤と家庭用の中性洗剤を比較してみると、汚れの落ち具合にあまり差が感じられないという意見もあります。しかし、中性洗剤には香料などが入っていることも多いため、洗浄の際になるべく余計な成分を付着させたくないという人は専用の洗浄剤を使うのが無難です。

超音波洗浄機を使うメリット・デメリット

超音波洗浄機を使うメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。

【メリット】

・人が洗うには限界のある部分まで洗浄できる

人の手では届かない細かい隙間や、ブラシなどが入らない場所であっても、超音波洗浄なら汚れを落とすことが可能です。

・短時間で汚れを落とせる

従来の方法であれば何時間も浸け置き洗いをしなければ汚れを落とせないものであっても、超音波洗浄機のキャビテーション効果によって数分で汚れを落とすことができます。

・洗剤を使わなくても洗浄できる

洗剤を使わなくても汚れを落とせるのも、超音波洗浄機のメリットのひとつです。汚れを落としたいものに洗剤をあまり使いたくないという場合は、超音波洗浄機の洗浄が有効です。

【デメリット】

・汚れを落としたいものにダメージを与える可能性がある

超音波洗浄機での洗浄では対象物に微細な振動を与えて汚れを落とすため、外部からの衝撃に弱いものを洗浄するとダメージを与えてしまう可能性があります。超音波洗浄機を使う際は、後述する注意点をよく確認してから使用するようにしましょう。

・大きなものは洗えない

家庭用の超音波洗浄機の場合、小物を洗浄することが前提となっているため、眼鏡ひとつ分程度の容量のものが多いです。大容量とされるものでも、大きなものを入れられるほどの容量は備えていないことが多いので、その点には注意が必要です。

・油汚れを落とすのには向いていない

様々なものや多様な種類の汚れを落とすことのできる超音波洗浄機ですが、油汚れにはあまり効果がないというのも特徴です。どうしても油汚れが気になる場合は、洗浄液をお湯にし、中性洗剤を入れてから洗浄するとより効果を感じられるでしょう。

・洗浄される部分にムラができることがある

超音波洗浄機の種類にもよりますが、洗浄対象物によっては汚れがよく落ちる場所と落ちない場所にムラができることがあります。超音波洗浄機の運転が終わった後に洗浄ムラがあると感じた場合は、洗いたいものの向きや置く場所を変えて再度洗浄してみるようにしましょう。

超音波洗浄機で洗えるもの

基本的には、ガラス製品、金属製品、プラスチック、陶器といった素材のもので、洗浄槽に入れられる大きさのものなら超音波洗浄機での洗浄に適していると言えます。超音波洗浄機で洗えるものには、具体的には以下のようなものがあります。

 

・眼鏡

「超音波洗浄機で洗えるもの」と聞いてまず思いつくのは、眼鏡ではないでしょうか。眼鏡は毎日使うものであるため、レンズのほかにもフレームやつる部分などにも汚れが溜まりやすくなっています。細かいパーツや溝なども多いため、クロスやブラシを使ってお掃除するだけでは汚れを取りきれないときは、超音波洗浄機で洗浄するのがおすすめです。

・アクセサリー、貴金属

金属製の指輪やネックレス、ピアス、イヤリングといったアクセサリーも超音波洗浄機で洗浄するのに向いています。普段頻繁に身に着けるアクセサリーや貴金属類は、細かい凸凹が多いため皮脂や汚れが溜まりやすく、お手入れをしていないままだとくすみや黒ずみの原因になってしまいます。細かい部分まで汚れを落とせる超音波洗浄機を使えば、お気に入りのアクセサリーもピカピカになり、スッキリとした気分で身に着けることができます。

・腕時計の金属ベルト

腕時計の金属ベルトも、パーツの隙間に汚れが溜まりやすく、ブラシなどでは汚れが落としにくいもののひとつです。ベルトを外せるタイプの腕時計であれば、ベルトだけを超音波洗浄機で洗うことができます。また、ベルトを取り外しできない場合でも、腕時計専用のホルダーが付いている超音波洗浄機であれば、時計の部分を濡らすことなく超音波洗浄をすることが可能です。

・電気シェーバーの刃

電気シェーバーは毎日使うものであるため、お手入れをしていても細かい毛クズや皮脂汚れが溜まりやすくなっています。超音波洗浄機を使えば、普段のお手入れでは落としきれない溜まった汚れを落とすことができ、スッキリした状態で使うことができます。

・メイク道具

電気シェーバーと同じく、ビューラーやメイクブラシといったメイク道具も、毎日使ううちに皮脂汚れやメイク用品の汚れが溜まりがちです。ビューラーには皮脂やマスカラの汚れがこびりついてしまったり、メイクブラシにはファンデーションやアイシャドウの粉とともに皮脂の汚れが溜まってしまったりしています。これらの汚れも、超音波洗浄機でお手入れすればすっきりと落とせるので、いつでも清潔に保つことができます。

・入れ歯、マウスピース

超音波洗浄機は、入れ歯やマウスピースの洗浄にも使うことができます。どちらも毎日使うため、しっかりとお手入れをして清潔に保ちたいものですが、凹凸が多く通常のお手入れやブラシでの洗浄だけでは汚れを落としきれないこともあります。超音波洗浄機なら、細かな隙間に入り込んだ汚れも落とすことができるので、入れ歯やマウスピースも気持ちよく使うことができます。

・プラスチック製のブラシやクシ、歯ブラシ

ブラシやクシ、歯ブラシなども、プラスチック製であれば超音波洗浄機で洗浄することが可能です。

ブラシやクシには整髪料や皮脂、ホコリなどの汚れが溜まりやすく、それらの汚れが溜まりやすい根本はお手入れがしにくい部分でもあります。また、毎日使う歯ブラシにも毛の根元に汚れが溜まりやすく、水洗いするだけでは汚れを落としにくいものです。超音波洗浄機で洗浄すれば、お掃除しにくい部分の汚れも落とすことができるため、スッキリした気分で使うことができます。

・プラスティックモデルのパーツ

 

プラスティックモデルは細かなパーツが多く、複雑な形をしているものも多いため、どうしてもホコリやゴミが付きやすくなっています。プラスティックモデルを組み立てたあとは、塗装する前に水洗いをしてホコリなどを取り除いてから塗装するという人も多いと思いますが、水洗いだけでは取り除けない汚れがついていることもあります。超音波洗浄機で洗浄をすれば、塗装前の皮脂汚れやホコリなどをしっかりと落とすことができ、出来上がりに差が付くでしょう。また、部屋に飾ってあるプラスティックモデルも、時間が経つと細かな隙間や凸凹にホコリやゴミなどが溜まっていきます。通常の水洗いではしっかりと汚れを落とすのが難しく、またブラシで擦るとせっかくの塗装が剥げてしまうこともあります。超音波洗浄機を使えば、細かな汚れも落とすことができるため、プラスティックモデルの洗浄に適しています。

超音波洗浄機を使う際の注意点

このように、超音波洗浄機で洗えるものには様々なものがありますが、洗浄したいものの素材や状態によっては洗えなかったり、洗浄すると傷ついたり破損してしまう可能性のあるものもあります。また、超音波洗浄機を使う際にやってはいけないことや、使用に際して注意すべき点もあります。ここでは、超音波洗浄機を使う際の注意点を紹介します。

・洗浄槽には適切な量の洗浄液を入れて使用する

超音波洗浄機で洗浄する際は、適切な量の洗浄液を入れて洗うようにしましょう。どの超音波洗浄機の洗浄槽にも、洗浄液を入れる目安である水位線が表示されています。この水位線を超えて洗浄水を入れすぎると、運転したときに水があふれて感電や故障の原因になる可能性があります。

逆に、洗浄液が少なすぎても空焚き状態となってしまう可能性があります。 洗浄液は少なくとも洗浄槽の半分以上は入れてから使うようにしましょう。

・連続して使用しない

洗浄したいものが多く、何回かに分けて使用する際には、連続して使わないようにしましょう。家庭用の超音波洗浄機の場合は、連続運転すると故障の原因になってしまう可能性があります。

・洗浄に熱湯は使用しない

通常のお掃除やお洗濯などをする際は、冷たい水よりもお湯を使ったほうがよく汚れを落とせるイメージがありますが、超音波洗浄機で洗浄する際にお湯は使わないようにしましょう。お湯を使って超音波洗浄機で洗浄すると、メッキ加工が剥がれてしまったり、眼鏡のレンズのコーティングが剥がれてしまったりする可能性があります。

・超音波洗浄機で洗浄できないものを入れないように注意する

様々なものを洗える超音波洗浄機ですが、洗浄するものの状態や素材などによっては、超音波洗浄機を使うと破損や変質してしまう可能性のあるものもあります。超音波洗浄機を使う前に、超音波洗浄機で洗っても大丈夫なものかどうか確認してから使うようにしましょう。具体的には、以下のものは超音波洗浄機に入れて洗浄しないように注意してください。

  • 硬度の低い宝石が付いたアクセサリー

宝石は種類によって表面の硬度が異なっており、硬度の低い宝石は表面が傷つきやすくなっています。超音波洗浄機は、超音波の振動の衝撃によって汚れを落とす仕組みになっています。そのため、超音波の衝撃に耐えられない硬度の宝石を洗浄すると、表面が傷ついたり破損したりしてしまいます。また、表面硬度が高い宝石であっても、「靭性」という点から見ると、とても脆く衝撃に弱い特性を持つものもあります。さらに、宝石をより美しく見せるために薬剤などで加工されているものは、超音波洗浄機で洗浄することによってその薬剤などが変質してしまう可能性もあります。

基本的には、「超音波洗浄機で洗えるもの」で紹介した表面硬度の高い宝石以外の宝石の場合は超音波洗浄機で洗浄すると傷つく可能性があるため、おすすめできません。アクセサリーによく使われる硬度の低い宝石としては、以下のようなものがあります。

・エメラルド…表面硬度7.5~8

エメラルドは、表面硬度は高いものの靭性がとても低く、外部からの衝撃に大変弱い宝石として知られています。また、このエメラルドの脆さを補うために、市場に流通しているほとんどのエメラルドには「含浸処理」という処理加工が施され、補強されています。超音波洗浄機でエメラルドを使ったアクセサリーを洗浄してしまうと、この加工が壊れたり変質してしまったりするため、エメラルドの超音波洗浄は厳禁です。

・トパーズ…表面硬度は8とルビー、サファイアの次に表面硬度の高い宝石ですが、エメラルド同様に靭性はそこまで高くなく、衝撃には脆い宝石です。超音波洗浄機で洗浄すると傷ついてしまう可能性があるので、超音波洗浄機での洗浄はやめておきましょう。

・ペリドット、ひすい…表面硬度6.5〜7

・オパール…表面硬度5〜6.5

・トルコ石(ターコイズ)…表面硬度5~6

・ラピスラズリ…表面硬度5~5.5

  • 有機質宝石がついたアクセサリー

アクセサリーによく利用される宝石の中には、「有機質宝石」に分類されるものがあります。これらは宝飾品によく使用されるものではありますが、厳密にいうと無機物である宝石とは異なるもので、硬度も低く傷つきやすいという性質を持っています。これらの有機質宝石を超音波洗浄機で洗浄してしまうと、破損や変質の原因になってしまいます。具体的には、以下のようなものが有機質宝石とされています。

・パール(真珠)

・サンゴ

・べっ甲

・象牙

・琥珀

  • メッキ加工してあるアクセサリーなど

超音波洗浄機では、上記の宝石の他にも、プラチナ・シルバー、ゴールド(18金など)といった金属類の洗浄も可能です。しかし、金属だと思っていたものがメッキ加工だったという可能性もあるため、金属のアクセサリーなどを洗浄する際には注意が必要です。

メッキ加工とは、様々なものに金属の薄い膜をコーティングする加工のことで、アクセサリーの見栄えを良くするためにも広く使われています。メッキ加工してあるアクセサリー類の中には通常の金属製のものと見分けるのが難しく見えるものもありますが、メッキ加工されているアクセサリーを超音波洗浄機で洗浄すると、メッキが剥がれてしまうこともあります。金属製のアクセサリーを超音波洗浄機で洗浄する際には、事前にメッキ加工のものでないか確認してからお手入れをするようにしましょう。特にメッキ加工かどうかわからないアクセサリーは無理に超音波洗浄機で洗浄をせず、アクセサリー専用のクロスで磨いてお手入れするのもおすすめです。

  • 革、布などの素材

革素材の小物も、超音波洗浄機での洗浄に向いていません。腕時計には、金属製ベルトの他に革製や布製ベルトのものも多くあります。これらの素材の腕時計は、超音波洗浄機で洗浄するとベルトを傷める原因となる可能性があります。金属製のベルト以外は、それぞれの素材に合った方法でお手入れをするようにしましょう。

  • 腕時計の本体部分

腕時計を超音波洗浄機で洗浄したい場合、防水機能つきのものであっても本体部分は水の中に入れないようにしましょう。超音波洗浄機は、超音波の振動によって汚れを剥がし落とす仕組みになっていますが、この微細な振動によって洗浄槽内の水もとても細かい分子になっています。そのため、たとえ防水機能のある腕時計であっても、通常の使い方では内部に入り込まないはずの水が本体の隙間から入り込んでしまう可能性があります。腕時計を洗浄する際には、ベルトを取り外してベルト部分のみを洗浄するか、腕時計専用のホルダーを使って本体部分に水がかからないような状態にしてから洗浄するようにしましょう。

  • 加工が劣化している宝石類、宝石が接着してあるアクセサリー

ダイヤモンドなどの宝石がついているアクセサリーを洗浄する際は、宝石の留め方や加工の状態によっては注意が必要になります。

立て爪で宝石を留めてあるアクセサリーの場合は、爪が劣化していると超音波洗浄機の振動で宝石が外れてしまう場合もあります。また、接着剤で宝石を接着してある場合も、接着剤が劣化していると超音波洗浄機の振動によって宝石が取れてしまうこともあります。特に、「メレダイヤ」と呼ばれる小粒のダイヤモンドを敷き詰めた「パヴェ」と呼ばれるデザインのアクセサリーなどは、超音波洗浄機の振動によって宝石が取れてしまう恐れもあります。そのようなデザインのアクセサリーを洗浄したい場合は、事前に状態をよくチェックしてから超音波洗浄機で洗浄するようにしましょう。心配な場合は、アクセサリーを購入した店舗でクリーニングをしてもらったり、ジュエリーショップで相談したりするのがおすすめです。

・傷がついているもの、ひびが入っているもの

眼鏡、アクセサリー、腕時計のバンドをはじめ、先述した超音波洗浄機で洗えるものであっても、傷がついていたりひびが入っていたりする場合は、超音波洗浄機で洗浄すると振動によってさらに傷が付いたりひびが広がってしまう恐れがあります。超音波洗浄機で洗浄する際は、お手入れしたいものの状態をしっかりと確認してから洗浄するようにしましょう。

ツインバードの超音波洗浄機
超音波洗浄器(EC-4548W)

インテリアに馴染む、ダイヤカットデザインの超音波洗浄機です。メガネやアクセサリー、時計のベルトなどに付いた汚れを、超音波の力で洗浄します。水と中性洗剤を入れてスイッチをONにするだけの簡単操作で、隙間に入り込んだ汚れを浮かし綺麗にします。